| ■イソザキ時計宝石店■ |
| 時計の小話 |
第266話(メタルバンド・アジャスト方式) ロレックスのメタルバンドは、大きく三つに分けられます。エアキング等に使用されているのは、3列の『オイスターブレスレット』です。シードゥエラー、サブマリーナに採用されているのは、 『オイスターフリップロック』式バンドです。 デイトジャスト等に採用されているのは、美しい『ジュビリーブレスレット』です。その他には、『プレジデントブレスレット』、WGケースのみに装着されるプレジデントタイプに、『トリドールブレスレット』が あります。ハイクラスのドレスモデル用に、コンシールドクラスプを採用した、 『スーパージュビリーブレスレット』があります。アンティーク・ロレックスに見られるのは、オイスターブレスレットの初期型で、 『リベットブレスレット』があります。 他に『オイスターロック』、ディプロイメントバックル仕様の、 『レザーストラップ』等があります。ロレックスはケース自体もしっかりした造りになっていますがバンドも 本当に非の打ち所のない造りになっています。メタルバンドの、アジャスト方式は、時代の転移と共にメーカーによって 多種多様な方式が採用されています。 ロレックス、フォルティス等は、ネジピン方式を採用しています。 セイコー等はCリング方式を多く採用しています。 (この前、販売されましたザ・シチズンのメタルバンドはパイプ式とネジ式が 合体した方法で一瞬戸惑いましたがなかなか優れた方式ではありました。)オメガ、ゼニス等は『パイプ・リング方式』を採用しています。 オリス、エポス、オリエント等のメーカーは、ヘアピン方式を多く採用しています。 (最近の腕時計で一番多く採用されているのがヘアピン方式でしょうか)30年〜40年程前の、メタルバンドのアジャスト方式と言えば、 『カット方式』、『バネ棒方式』、『ネジ方式』、『スライド方式』、 『板バネ方式』、『中ゴマ方式』が中心でした。 ユーザーの方が、ドライバー一つで、いとも簡単に、バンド調節出来る方式に、 『スライド式』がありました。また年輩の方に、腕に装着するのに、便利な伸縮メタルバンドには、 『S字型方式』、『エバ方式』が、ありました。 35年前頃の一時期、フジバンド社製の『S字型方式』の伸縮バンドが爆発的に よく売れた記憶があります。昔から変わらず根強い人気のあるメタル伸縮バンドにイタリア製の エルミテックス・バンドがあります。 (知恵の輪を思い起こすような留め金式で面白いやり方です)日本には時計バンド製造会社に『バンビ時計バンド』、『マルマン時計バンド』、 『ベア時計バンド』の大手3社がありましたが安い中国製に押されてか? 経営不振に陥り2社が倒産に追い込まれたことは痛ましい出来事でした。 第267話(盛岡セイコー工業(株)について) メカ式のグランドセイコーや、クレドール等のセイコー高級機械式腕時計を 生産している、『盛岡セイコー工業(株)』は、以前の第二精工舎 (現セイコーインスツル(株))の優秀な子会社であります。最近、盛岡セイコー(株)(岩手県岩手郡雫石町板橋61-1)が、 社内に手作りの高級機械式腕時計を生産する『雫石高級時計工房』を設置し、 始動しました。1970年に設立された、盛岡セイコー工業はアナログ・クォーツムーブメント等を 中心に、年間1億2千万個を生産する一方で、GS等のセイコーを代表とする メカ式高級腕時計の生産もしてきました。 (しかしその数は年間15,000 個でしかありません。 ロレックス社はメカ式をおそらく年間70万個は生産しているものと思います。)スイスの代表的時計メーカー、ロレックス、ジャガールクルトと同じ様に、 盛岡セイコー工業(株)は部品製造から、組立完成品に至るまで、 一貫して出来る技術があるマニュファクチュールでもあります。盛岡セイコー工業には、桜田守氏、照井清氏、大平晃氏に代表される 卓越した技能士がおられ、現場で生産組立調整に携わる一方で、 若手の技術者を育成し、技術を継承する為に努力されていると聞き及んでいます。盛岡セイコー工業の工房内には、見学コースが新たに併設されて、 部品製造から完成品の組立に至るプロセスを近くで、垣間見る事が出来る 状態になっているとの事です。 (東北の方でメカ式に関心のある読者の人は問い合わせて訪れてみたら きっと大きな収穫があると思います。)セイコー社は、クォーツ生産技術によって、 世界の冠たる時計メーカーに大飛躍を過去において遂げましたが、 現代の機械式腕時計の復活する事を予見する事が出来ず、 スイス時計メーカに比較して大きく立ち後れた事は否めないと思います。 ようやく、本腰を入れて、メカ式高級腕時計の生産を大々的にする意思を固め、 このような体制造りになったものと思います。願わくば、日本ロレックス社が、東京に時計学校を設立したように、 日本を代表する時計メーカー、セイコー社が若手の時計技術者を育成するために、 公の時計学校を将来、設立して欲しいと願っています。 そうする事によって才能ある時計技術者の発見・掘り起こしにもつながり 時計業界の裾野が広がるものと確信します。 第268話(ロレックス・チェリーニについて) ロレックスにはチェリーニ【CELLINI】というエレガントな時計シリーズが 紳士用・女性用共にあります。 以前は手巻きが主流でしたが最近ではクォーツタイプもいろいろ販売されるようになり手巻きが煩わしいと思っている人には人気があるようですが、 やはりロレックス・チェリーニと言えば男女共、手巻き腕時計が秀逸でしょうか。チェリーニ【CELLINI】とは16世紀、イタリアルネッサンス期に彫金・鋳造で 天才的な仕事を成し遂げたジュエリー職人ベンベヌト・チェリーニを指します。ギリシャ神話のペチス、ポセイドンをモチーフにして製作された現存する最高傑作 『サリエラ』は彼の才能を遺憾なく発揮した作品で後世に大きな影響を与えました。 高価な宝石を惜しむことなくちりばた超豪華な彼の作品は 『私の作った王のメダル一個で、城一つの価値がある』と 言わしめたほどのものでした。 全世界で高い名声を誇っているロレックスのシンボルでもある王冠のマークは、 王を表わすとともにクラフトマン(工芸・時計職人)の5本の指を表わしていると 言われていますが、創業者ハンス・ウィルドルフはベンベヌト・チェリーニを 意識してデザインを考案したのではないかと思っています。ロレックス・チェリーニの手巻きムーブメントにはCal、1501 Cal、1601 Cal、1600等の19石の機械があります。 テンプにはジャイロ・マックス方式を採用していて非常に優れた精度が出る ムーブメントです。 機械の何処を見てもロレックス魂が吹き込まれている素晴らしいムーブメントで あります。手巻きと言えばパティック・フィリップの『カラトラバ』がつとに有名ではありますが 小生の好みから言えば少し無理をすれば手が届くロレックス・チェリーニ手巻きの方に軍配を上げたい感じがします。 ロレックス・チェリーニのユーズドでは18金無垢ケース入りで20万円前後で 入手出来ることもありますのできめ細かにチェックすれば手にはいるのではないかと 思います。 愛蔵品に一個所有していても決して損のしない逸品でしょう。 第269話(神戸のアンティーク・ウォッチ・ショップ) 10月13日に大阪の『マイドームおおさか』で、宝飾品の仕入れ会がありましたので、 大阪へ行ってきました。 その帰りに、昨年度の時計技術通信講座卒業生の広川夏樹君が経営している、 アンティーク・ウォッチ・ショップを訪ねてきました。瀟洒な4階建てビルの2階に、その店舗がありました。 場所は神戸市中央区中山手通3丁目7-29 楊(ヤン)ビル 2Fで、 店の名前はアンティーク アナスタシアと言います (tel. 078-391-7323 三宮駅と元町駅の中間にあります)チャーミングな奥様と二人で経営しておられ、アットホームな雰囲気で来店客が、 ぼちぼち増えてきている事を聞いて、安堵しました。 縦長の10坪程の可愛いお店ですが、中にはビックリする程多くの、 アンティークウォッチが所狭しと、並んでいました。 僅か一年ちょっとでこれだけの数のアンティークウォッチを蒐集した、 彼の営業努力にも頭が下がる思いです。特に、40〜60年ほど前の婦人用メカ式腕時計の充実さには、 目を見張るものがありました。 懐かしいアーモンド型や、南京虫型の婦人用腕時計がたくさんありました。 読者の方で、アンティークレディスウォッチに関心のある方は、 一見の値のある店だとお勧めします。 彼も読者の方がご来店して頂けたらきっと喜ぶと思っています。彼は、その時代の時計も好きなのですが、その同時代の宝飾品も たくさん集めておられ、非常に魅力的なペンダントやイヤリング、コインなどの 商品が、一杯ありました。小生も、彼が頑張って店を持った事が嬉しくて遅蒔きながら、 開店祝いを兼ねてアメリカ製のエルジン手巻き腕時計(ア・シールド1802)を 一個買ってきました。彼の店を訪ねた帰り道、偶然にも一軒の骨董品店に立ち寄り、私の好きな アンティークのユニバーサル(Cal、1-69)とインターナショナル(Cal、854)が偶然にも見つかり、そこでも記念に買ってきました。 また、いつの日か、暇な時にオーバーホールをして、皆様に紹介したいと、 思っております。神戸へは何回となく行きましたが、お洒落で綺麗な女性が多くて、 また町並みもどことなく雰囲気が良くて楽しくなる街です。 大都会特有の喧噪さもさほどなく、落ち着いて街を散歩出来る素晴らしい都市だと いつも感心しています。 第270話(女性用メカ式) 愛知県のH様からSEIKO、36,000振動 婦人用手巻き腕時計(Cal.1944A 23石)の、 修理依頼を受けました。この婦人用ハイ・ビートの腕時計は、1974年第二精工舎で生産されたものです。 ムーブメントは長方形で、縦19.6mm横12.9mm厚さ4.4mmの女性用としては、 少し大ぶりなサイズになっていました。GSハイ・ビート36000婦人用手巻き腕時計(Cal.1964A)の普及版と言える代物です。 発売当初、精度等級はLA(日差−15〜+25秒)になっており、 当時の婦人用の腕時計としては、精度の出ている高級手巻き腕時計でした。この機械のベースとなったムーブメントは、 1969年に発売されたGSハイ・ビート36000婦人用手巻き腕時計(Cal.1964A)です。 このGSハイ・ビート36000はクロノメーター規格に入っており、 GS精度基準を合格した当時としては、世界一の精度を保有していた 素晴らしい女性用腕時計でした。 輪列や、テンプ等のパーツ類が効率良くレイアウトされ、 地板の表面研磨も美しい機械でした。30年程前の婦人用腕時計の精度は中級品で日差−30〜+60秒狂うのは普通で、 時間精度要求の厳しいご婦人方には、ある程度人気があり、 ポツポツ売れた記憶がありましたが、なにせ、ムーブメントが若干大きい為に、 デザインが限られており、ファッションセンスに富んだ女性には、 なかなか受け入れられなかった様に思います。このセイコーの36000振動の婦人用腕時計は、市場寿命が短く、 アッというまに消え去っていった様な記憶があります。 その為に、残存しているこの機種は恐らく少ないものと思われ、 アンティークとして非常に貴重な腕時計ではないか?と思います。石川県の方から修理依頼を受けた、 ROLEXパーペチュアルデイト婦人用自動巻 (Cal.2030 28石)の腕時計についてもお話したいと思います。ロレックス婦人用自動巻腕時計の機械と言えば、 現行の(Cal.2135 29石 28800振動)が現時点では、 最高峰の機械と言えるかもしれません。 Cal.2135に至るまでに、ロレックスは、弛まず女性用メカ式腕時計を 開発・発売してきました。 Refナンバー.6504〜6515は、Cal.1120(ムーブ直径20mm19800振動)が搭載され、Refナンバー.6800〜6807は、Cal.1160(ムーブ直径20mmオートマ19800振動)が 搭載されました。 このCal.1160は、ロレックスの男性用名機と言える機械Cal.1570 26石を 縮小した婦人用と言えるものです。Cal.2030 28石はRefナンバー.6706〜6771までに採用されたムーブメントで、 珍しい特徴を持った機械でした。 特にヒゲ棒に2本の人工ルビーを使用していましたし、 緩急調整はヒゲ持ちの所に微細調整出来るマイクロスクリューを取り付けていました。 (一般的にロレックス社はテンワにマイクロスクリューを取り付けています)また、秒カナ車にクッション座金を取り付ける代わりに、 円形の小さな永久磁石を取り付けていました。 今まで、35年間修理作業をしてきて、唯一の方法であったのかなと思います。(察するに、永久磁石を取り付けている為に、秒カナ車のカナ部分に 超ミクロな鉄粉が取り付いて、故障の原因の一つになったのではないか? と推察しています。 その為に、その後のCal2130 2135には、この方式は採用されなかったのでしょう。) |
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